「ボールはともだち」を具現化する名将

オファーを快諾した風間監督はチームに独自のメソッドを注入し、チームはより「ボールはともだち」を体現するように魅力的なサッカーを展開し始めた。取材時はリーグが開幕して間もなかったが、岩本GMは確かな手応えを得ていた。

――風間さんへの期待や、どのようなサッカーを見せて地域リーグを盛り上げてほしいと考えていますか。

地域リーグを盛り上げるというか、南葛SCらしいサッカーで見ている人たちを盛り上げてほしい。一番のキーワードは、やはり「ボールはともだち」です。『キャプテン翼』にとって最も重要なこの言葉を具現化し、相手を圧倒できるようなサッカーを見せてほしいと思っています。

――実際に風間監督が就任して、岩本GMの視点で変化はありましたか。

どこを見ても変化があります。風間さんは「まだまだ」と言っていますが、関東リーグ1部開幕までの約3カ月で、よくここまで変化したなと。リーグ戦第2節では、過去2年間で4戦4敗だった東京ユナイテッドFCと対戦しました。相性がよくない相手に対し、圧倒的な内容で勝利を手にすることができた。1試合ごとに一喜一憂するつもりはありませんが、変化が明確に感じられるうれしい一戦でした。

精力的に選手を指導する風間監督(左)

南葛SCの練習場を訪れた際、選手たちはどこか楽し気にボールを追いかける様子が印象的だった。止める、蹴るの基本技術を大事にしながら、ボールを動かしながら相手をはがしてゴールへと運ぶ。この一連のプレー動作は早く、正確に実戦を想定しながら取り組んでいる。風間メソッドを吸収しようと練習に励む選手たちの充実した表情が伺えた。

元日本代表MF今野泰幸は「上手くなるというよりは意識付けですよね。普段の練習から要求するところが高い。ターンするとか、最短でしっかり前を向いて前に当てていくとか。そういうことを常々言われるので、意識が変わるから、頭が変わる。やろうとしているサッカーの質が高くなってくるから、そういう意味でレベルアップしているのかなと思います」と、風間メソッドの本質は意識面、判断面での向上と捉えていた。

風間監督が指導した選手たちは口を揃えて「サッカーが上手くなる」という返答が多い。だが基本技術はメソッドの前提であり、指導の神髄は意識面の変化を促し、意識付けることで創造性の高いサッカーをピッチ上で実現している。

風間監督は「(南葛SCのサッカーに)『完成はない』。サッカーはずっと完成がない。また当然ながら上手くなって、強くなれば自然と勝ちはついてくる。いろんな意味で目指すものはそこ(勝利)だけではない。とにかく選手の質を上げること。それからみんな定義を理解しているし、どうするかは分かっている。その基準をどこまで上げるか。そこは挑戦ですね」と、「ボールはともだち」というチームテーマを追い求めている。

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チームは全国社会人サッカー選手権大会関東予選で東京都リーグ1部SHIBUYA CITY FCに1-3と敗退し、リーグ戦はVONDS市原が2連覇を果たしたため、惜しくも今季はJFL昇格を逃してしまった。それでも創造性あふれるサッカーを見せて多くのファンを魅了して歓喜を届けられた。「ボールはともだち」を具現化するサッカーの完成度が高まる来季にJFL昇格を期待したい。

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