ジャパンラグビーリーグワンのリコーブラックラムズ東京は23日、スペイン1部リーグのサッカークラブ・ビジャレアルCFと教育・育成を通じたサステナビリティ推進に関するパートナーシップを締結したことを発表した。
海外のラグビー以外のスポーツチームとのパートナーシップは、リーグワン初の取り組みになる。
リコーブラックラムズ東京は、1953年創部。東京都世田谷区を拠点として活動し、リーグワン最上位のディビジョン1に所属。名称である「ブラックラムズ」は、チームのシンボルであるジャージの黒、そして常に相手に立ち向かっていく選手たちの姿が勇猛果敢なファイティングスピリットを持つ雄羊(ラム)を連想させることに由来している。
ちなみに、リーグワンの紛らわしい略称として「BL東京」と「BR東京」があるが、リコーブラックラムズ東京は後者の「BR東京」。「BL東京」はリーグ連覇中の王者・東芝ブレイブルーパス東京のことだ。
一方、ビジャレアルCFは1923年に創設された、バレンシア州ビジャレアルを本拠地とするスペインの強豪クラブ。2008年からは日本人の佐伯夕利子氏(現ビジャレアルCFフットボールマネージメント部・元Jリーグ常勤理事)が育成強化を担い、“選手”ではなく“人”を育てるクラブとして高い評価を得ている。
また、クラブスローガン「Endavant(エンダバン, バレンシア語で『常に前進』の意味)」のもと、地域社会や教育、スポーツ、文化などを支援するサステナビリティ推進活動「Endavant Project」に長年取り組んでいる。
リコーブラックラムズ東京では、今季の2025-26シーズンから新たな選手教育プログラムを開始するなど、選手・スタッフが「常に学びを得られる環境づくり」を重視。
また、ミッションに「Be a Movement.」を掲げスポーツを通じた社会課題の解決を目指しており、今回、ビジャレアルCFの「人を大切にするクラブ」「Endavant」といった価値観に共感し、パートナーシップの締結に至ったという。
今後はさらなる競技力の充実・向上を図りながらも、地域に根ざした持続可能なクラブづくりを目指して連携を図っていくとのことだ。以下は関係者のコメント。
リコーブラックラムズ東京 西辻勤ゼネラルマネージャー
「実際にビジャレアルの街を訪れ、フットボールを中心に産業や教育が一体となり、老若男女・障がいの有無を問わず人々が笑顔で支え合う姿を目の当たりにしました。スポーツがまちを豊かにする力を、肌で感じました。
ビジャレアルCFは「人を育てる」ことに口先ではなく本気で向き合い、決して潤沢ではないリソースを惜しみなく投じています。そこには細かなマニュアルではなく、“想い”を伝承する文化が根づいており、まさにクラブのカルチャーそのものです。さらに、ソーシャルにフォーカスし、社会的に弱い立場の人々を温かく支える姿勢や、持続可能な社会を見据えた取り組みの深さにも強く感銘を受けました。
私たちブラックラムズ東京は「当然勝利を目指す」クラブですが、勝つことだけが“活力と感動”を生む方法ではないことを知っています。選手・コーチ・スタッフ一人ひとりの成長を通じてチームを強くし、地域とともに持続可能なクラブを築いていきたいと考えています。
今回のパートナーシップを通じて、競技の枠を超えた学びと人づくりを実践し、スポーツが社会をより良くする力を共に発信していきます」
ビジャレアルCF Endavant Project責任者 パロマ・マソ氏
「決して世界的なビッグクラブではないビジャレアルCFに対して、育成やサステナビリティといった観点で興味・関心を持っていただいたことに感謝申し上げます。
国を超え、異なる競技間でも互いに学び合うことが非常に大事であり、日本の文化全体からも学べることが多くあると考えています。環境・人づくりにおいて、お互いの知恵や取り組みを共有し、学び続けていきたいと思っております」
【インタビュー】西芳照シェフが語るラグビー日本代表とサッカー日本代表の食事・文化の違いとは
最近、アメリカでのバルセロナ戦ホームゲーム開催が中止となるなど、何かと話題のビジャレアル。日本のラグビーチームとの提携が彼らに何をもたらすのかにも注目していきたい。